「BTOパソコン」とは?
「自作パソコン」「ショップ系パソコン」との違いも解説!
パソコン通販サイトなどでよく見かける「BTOパソコン」とは、自分の用途に合わせてパーツを選べる、自由度が高くコスパに優れたパソコンのことです。BTOパソコンを知るには、自作パソコン、ショップ系パソコンとの違いも覚えておくといいでしょう。さらに、BTOパソコンの特徴や、メリット・デメリットについてわかりやすく説明します。
BTOパソコンとは?まずはパソコンの種類を知ろう
パソコンはOS(WindowsやMacOS)や、形状(デスクトップやノート)による分類のほか、「メーカー製」「ショップ系」といった販売形態によっても分類することができます。今回取り上げる「BTO」も、販売形態の一種です。そこで、まずはその販売形態の分類について順に解説していきます。
販売形態によるパソコンの分類
1. メーカー製パソコン
2. 自作パソコン
3. ショップ系パソコン
手軽にカスタム可能なBTOパソコン
BTOとは、「Build To Order」(受注組み立て)の略。使用するパーツを、メーカーが指定する選択肢の中から選ぶ販売形態のことです。BTOパソコンは、上記の「メーカー製パソコン」と「ショップ系パソコン」で、販売形態の一部として取り扱われています。出来合いのパソコンではなく、「ハードディスクやメモリをちょっと増やしたい」など、選択肢から自分の用途に合わせて手軽にカスタムできるのが特徴です。自作パソコンと異なるのは、パーツを自由に選ぶのではなく「選択肢の中から選ぶ」という点。そのため、組み合わせて使えないパーツは当然ながら選択肢に入っていませんし、相性問題が発生することもありません。自作パソコンのように自分の用途に合わせてパーツを選択することができ、しかも完成品が手に入るという、まさに良いところだけを合わせたようなパソコンといえるでしょう。
ニーズ別!おすすめのカスタマイズ
BTOパソコンは自由度が高いため、「どのような構成にしたらいいかわからない」という方もいるでしょう。ここでは、用途別におすすめの構成例を紹介します。
動画編集がしたい人向け
動画ファイルはサイズが非常に大きいので、大容量ストレージが必要です。大容量HDDの選択をおすすめします。編集する動画の長さや解像度にもよりますが、最低1TBはあるといいでしょう。また、編集後の動画ファイルを再圧縮する「エンコード」には高い処理能力が要求されるため、コア数の多い高速なCPUも必要になります。グラフィックボードには、「GeForce」などを搭載していれば、さらに快適です。メモリ容量の目安としては、フルハイビジョン編集なら最低8GB、4K編集なら最低16GB以上を用意しましょう。
カスタマイズポイント!
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1.大量・長時間、もしくは4Kの動画編集をするならHDDを最低4TBに
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2.4K編集を快適にするならメモリを最低16GBに
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3.動画をBDに記録するならBD-R/REドライブ
快適にゲームプレイしたい人向け
3Dゲームをプレイするには、高速なグラフィックボードを搭載していることが必須となります。主なグラフィックボードとして、Nvidia社の「GeForce RTX」シリーズや「GeForce GTX」シリーズ、そしてAMD社の「Radeon RX」シリーズがあります。GeForceの「RTX」は「GTX」の後継として登場したシリーズで、上位機種といえます。ただし、「GeForce RTX」「GeForce GTX」「Radeon RX」の中でいずれのモデルが優れているかは、型番によってシリーズ内での位置づけ(エントリーモデルやハイエンドモデルなど)が変わるため、一概にはいえません。購入する際に実際の型番も含めて検索し、パフォーマンスの違いと価格差を調べて検討しましょう。 Windowsやゲームの起動を速くしたり、ディスクアクセスによる処理落ちを防いだりするには、ストレージにSSDを選択するといいでしょう。CPU性能は、動画処理ほどには必要ありませんが、ゲームによっては高い処理能力を必要とするものもあります。遊びたいゲームが決まっている場合には、CPUの推奨スペックも確認しておきましょう。主に2Dゲームをプレイするという場合には、グラフィックボードをエントリーモデルに変更することで、コストを大幅に下げることができます。
カスタマイズポイント!
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1.「推奨メモリ」の大きいゲームを遊ぶならメモリを最低16GBに
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2.2Dゲームのみを遊ぶならオンボードグラフィックのみのモデルに※この場合、処理が重いと感じたときのために、グラフィックボードを追加できるモデルを選択するといいでしょう。
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3.「光り物」のゲーミングデバイスを追加したいなら
RGBファン搭載のPCのケースや、ディスプレイ用LEDライティングアイテムやマザーボードのRGBLEDファンなどを追加して楽しむことも
ネット配信したい人向け
YouTubeなどで動画をネット配信したい場合、カメラで撮影した動画をリアルタイムで配信する(実況配信する)場合には、特別に高い性能は必要ありません。後半の「ビジネスで使いたい人向け」「ハイコスパなパソコンを探している人向け」のモデルでも十分です。一方、録画した動画を編集して配信する場合には、先の「動画編集がしたい人向け」のスペックを満たしているモデルがいいでしょう。もっとも要求スペックが高くなるのは「3Dゲームプレイの実況配信」です。これを実現するには、3Dゲームをプレイできるスペックと、配信するスペックの両方が必要になります。リアルタイム配信する場合にはゲームプレイと配信を同時に行えるスペックが必要になり、編集後に配信する場合には動画編集のためのスペックが必要になります。
カスタマイズポイント
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1.Wi-Fi(無線LAN)で接続したいなら 高速規格「IEEE802.11ac」を搭載したモデルを選択
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2.ゲームの実況配信をしたいなら
複数のディスプレイ端子を搭載しているモデルを選択※「ゲーム画面用」と「配信画面や視聴者コメントの確認用」で、2画面のディスプレイを用意すると快適に! -
3.動画のエンコードを早く終わらせたいなら高速なCPUを選択
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4.筐体も派手に見せたいならフロントファンにLEDを搭載した筐体を選択
静音にこだわりたい人向け
パソコンの動作音が気になる、家族の集まる場所にパソコンを設置しているといった場合には、なるべく騒音を抑えたパソコンを選びましょう。ツクモの「AeroStream」シリーズは、低い回転数でも効果的に冷却できる大口径ファンを採用することで、騒音の発生を抑えています。また、密閉型サイドパネルとサイド吸気方式を採用したことで、音漏れも低減。 カスタマイズのポイントとして、HDDや冷却ファンを持つグラフィックボードは騒音源となるため選択せず、さらにCPUファンも静音タイプを選ぶといいでしょう。
カスタマイズポイント!
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1.ゲームをしないなら
グラフィックボードを選択せず、内蔵グラフィック機能を選択
(グラフィックボードのファンが騒音源になるため) -
2.大容量ストレージが必要ないならHDDではなくSSDを選択
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3.さらに静音化するなら静音対応CPUクーラーを選択
ビジネスで使いたい人向け
Webでの調べ物や書類作成といった用途なら、あまり高性能なパーツは必要ありません。そのぶん、高速で静音性の高いSSDや、便利な無線LANなどにお金をかけてもいいでしょう。また、冷却のための空間もそれほど必要ないため、スペースを取らない小型筐体もおすすめです。ワープロ、表計算、プレゼンテーション作成などのためのオフィスソフトは、必要に応じてMicrosoft Officeか、価格の抑えられたオフィス互換ソフトを選ぶことができます。 もうひとつのおすすめポイントは、複数のモニターを接続して使う、マルチモニター環境です。Excelで大きな表を扱ったり、Webブラウザーで情報を検索しながらWordで文章を書くといった場合には、マルチモニターを利用することで作業効率が大幅に向上します。そのためには、マザーボードに複数の映像出力端子を備えたモデルを選択するといいでしょう。
カスタマイズポイント!
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1.Windowsやアプリの起動を高速化したい場合は
HDDの代わりにSSDを選択 -
2.OfficeがMicroSoft Office以外でもよい場合は
MicroSoft Office互換ソフトを使用 -
3.Wi-Fi(無線LAN)接続をしたいなら内蔵Wi-Fi機能を選択
写真加工・現像したい人向け
撮影した写真を加工したり、RAW画像を現像したりする場合、CPUが高速であればあるほど、ひとつひとつの処理がすばやく終了するので快適です。そのため、細かい修正を多岐にわたって行うような用途では、高速なCPUを用意しましょう。3Dゲームのような、高度なグラフィックス性能は必要ありません。ただし加工・現像ソフトの中には、「Adobe Photoshop」や「Adobe Photoshop Lightroom」のように、グラフィックチップ(GPU)の機能を利用できるものもあります。そのようなソフトを使う場合には、グラフィックボードを追加すると快適です。また、主にRAW画像の現像を行う場合には、大容量ファイルの読み書きが必要になるため、高速なストレージがおすすめです。HDDの代わりにSSDを選択しましょう。
カスタマイズポイント
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1.グラフィックチップ(GPU)の機能を利用できるソフト(Adobe PhotoshopやAdobe Photoshop Lightroomなど)を使うならグラフィックボードを追加
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2.高解像度の写真(一眼レフやデジカメなど)を複数枚同時に加工するなら
最低16GBのメモリを選択 -
3.RAW画像の現像を行うならSSDを選択
ハイコスパなパソコンを探している人向け
CPUの主流は、Intel社の「Core i」シリーズです。「Core i9 / i7 / i5 / i3」といったシリーズがあり、「i」の後ろの数字が大きいほど上位モデルです。どのモデルも、後半部分に「9980」のような4桁のモデルナンバーがあり、基本的には同じシリーズならば数字が大きいほど高性能といえます。ただし、たとえば「Core i5の最新・最上位」と「Core i7の最初期・エントリー」のように、発売時期やクラスによっては逆転が起こる場合もあります。そのため、CPUを選ぶ際には、実際のシリーズ名とモデルナンバーを検索するなどして、性能の違いをチェックするといいでしょう。
一方で、AMD社の「Ryzen」シリーズや、モデルナンバーの末尾に「G」の付く「RyzenG」シリーズも存在します。価格に対する性能の高さが「Core i」シリーズを上回ることもあり、注目を集めているCPUです。これらのCPUを選ぶ際も、実際の性能比がどのくらいあるものなのか、「Core i5-9400 Ryzen 5 2400G」のように、2つのCPU名を並べて検索してみるといいでしょう。そうすることで、コストパフォーマンスの高いCPUを搭載したモデルを選択することができます。そのぶん、メモリを増やしたり、グラフィックボードを追加したりすることで、同価格帯でもより性能の高いパソコンを手に入れるという、まさにBTOの醍醐味ともいえる構成ができます。
BTOで浮いた予算を割り振るコツ!
BTOで自分のニーズにぴったりと合うパーツ構成を選ぶと、予算は低く抑えられるもの。そこで浮いた予算を、つい使いまわしてしまいがちな周辺機器に割り当てることで、全体のパフォーマンスをさらに上げることができます。
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1.モニター
4Kやウルトラワイドなど、解像度の高いモニターに買い換えることで、広いデスクトップや精細度の高い映像を表示できます。応答性の高いモニターにすれば、ゲームをより快適にプレイできるようになるでしょう。用途によっては、上記の「ビジネスで使いたい人向け」で解説したマルチモニター環境を導入することもおすすめです。ExcelやWordでの作業効率が向上するほか、広い画面でゲームをプレイすることができるようになります。
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2.ルーター
スループットの高いルーターにすることで、家庭内でのファイルの送受信が高速化します。また、電波の強いモデルや、高速規格を採用したルーターなら、Wi-Fiでも高解像度映像のストリーミング再生などが快適に行えるでしょう。
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3.入力機器
操作性の高いキーボードやマウスは、パソコンの操作全般を快適にします。またゲームをするなら、ゲームパッドやステアリングホイール、ジョイスティックなどを追加してもいいでしょう。ほかにも、お絵かき用にペンタブレット、生体認証用に指紋センサーなど、操作を快適にする周辺機器が数多くあります。
Windows 7を使っている方必見! Windows 10パソコンへの買い換えを推奨
Windowsには、販売元であるマイクロソフトの定めた「サポート期間」があり、Windows 7のサポート期間は2020年1月14日までです。サポートが終了すると、以降は機能追加やセキュリティアップデートが行われなくなります。つまり、セキュリティ上の弱点が見つかっても修正されないまま使うことになり、パソコン内の個人情報を盗まれる、自分のパソコンを外部から勝手に操作されてしまうといった危険性もあります。これを機に、最新のWindows 10への切り替えを考えてみましょう。
BTOパソコンを選ぶメリット・デメリットとは
自由度の高いBTOパソコンは、パソコン購入を考えている人にとって魅力的な選択肢のひとつです。ここでは、そんなBTOパソコンのメリット・デメリットについて解説します。
メリット1. 組み合わせの自由度が高い
メーカー製パソコンやショップ系パソコンは、不特定多数ユーザーの標準的なニーズに合わせて作られています。そのため個々のユーザーにとっては、自分の用途とは微妙にズレているパソコンを選ばざるをえなくなりがちです。BTOパソコンなら、「グラフィックス性能だけは思い切り高くしたい」「外付けの大容量HDDがあるので内蔵HDDの容量は小さくていい」「光学ドライブは使わないのでいらない」といったように、自分の用途にピッタリと合わせたパーツを構成できます。まさに「自分だけの特注パソコン」を手に入れられるというわけです。
メリット2. コストを抑えられる
不要なパーツについては性能を低く抑えたり、無くしてしまったりできるので、無駄なコストを削減できます。結果として、必要とするスペックのパソコンをより安く購入できるでしょう。自作パソコンを一式作る場合と比較すると、BTOパソコンはパーツをまとめて購入するため、ひとつひとつ個別に購入する自作パソコンに比べて合計金額が安くなることもあります。
メリット3. パーツ選択や組み立ての失敗がない
自作パソコンはすべてのパーツを自由に選ぶことができますが、それだけに失敗もあります。間違って規格の異なるパーツを選択してしまうと、接続すること自体ができません。また、規格を合わせて接続できたとしても、原因不明のトラブルでうまく動作しないこともあります。これは「相性問題」と呼ばれる現象で、相当に深い知識を持っていても遭遇してしまうことがあります。また、組み立てを行う際にパーツを傷つけてしまうことや、ケーブルの結線がゴチャゴチャして冷却風がうまく通らないといったトラブルもよくあることです。 BTOパソコンの場合は、専門のパソコンショップが長い経験と知識をもとに組み合わせたパーツのみから選択することになるので、組み合わせで失敗することはありません。
メリット4. 自作のように、あとから部品を交換して長く使える
自作パーツを組み合わせてカスタマイズしているショップ系BTOパソコンは、統一規格にもとづいた汎用性の高いパーツを組み合わせて作られているという点では、自作パソコンと同様です。そのため、あとからドライブを追加したり、グラフィックカードを交換したりといったカスタマイズを自分で行うことも可能。古くなったパーツを最新のパーツに交換しながら、長期に渡って使い続けることもできます。
メリット5. 無駄がない
多くのメーカー製パソコンには、最初から多数のソフトがインストールされています。その中には、ほとんど使わないソフトもあることでしょう。そのようなソフトのためにHDD/SSDの容量を取られてしまうことや、動作を重くしてしまうことは無駄だといえます。 BTOパソコンは、インストールするソフトも選択することができるため、使わないソフトが大量にインストールされているということがありません。
デメリット1. ある程度の知識が必要
バーツを選択する自由があるということは、「どのパーツを選ぶか」を自分で決めなければならないということでもあります。自分の用途にはどのグレードのパーツが適しているのか知っていないと、性能が不足してしまったり、逆にコストをかけすぎてしまったりということがあるわけです。
デメリット.2 独自の形状や機能が採用された製品がない
メーカー製パソコンにはオリジナルのパーツが数多く使用されています。そのため、たとえば液晶モニターと本体の一体型や、指紋認証センサー内蔵など、独自のハードウェアが採用されている製品もあります。BTOパソコンは汎用性を重視しているため、そのような特殊な製品はありません。ただし、超コンパクト筐体と液晶モニターを組み合わせたり、指紋認証センサーを外付けしたりすることで、同等の使い勝手を実現することは可能です。
デメリット3. 「他人の評価」を参考にしづらい
大量生産されている製品であれば、すでにその製品を使っている人の評価を、SNSや口コミサイトなどで読むことができます。しかしBTOパソコンは自由なカスタマイズが可能なので、「まったく同じパソコンを持っている人」が見つかりにくいことになります。ただ、シリーズ名やブランド名で検索することで、筐体やキーボード・マウスの使い勝手を知ることはできるでしょう。
デメリット4. 納品に時間がかかることがある
BTOパソコンは購入者がパーツを選ぶため、注文を受けてから組み立てることになります。 そのため、パソコンの購入者が増える時期には納品に時間がかかることもあります。BTOパソコンを購入することが決まっているなら、早めに構成を決めて購入しておきましょう。BTOパソコンによっては、「即納モデル」が用意されていることがあります。例えばツクモでは、組み立て済みの完成品モデルが展開されており、店頭ならばその場で持ち帰り可、ネットショップならば翌日出荷が可能になっています。そのようなモデルは価格も安い傾向にあるので、自分の用途にあったモデルがあればおすすめです。
BTOパソコンは多少の知識が必要となるものの、用途が明確である場合はリーズナブルなパソコンだといえます。この記事で紹介している用途ごとのおすすめカスタマイズも参考に、自分に合ったBTOパソコンを選んでください。