Windows 10 HomeとProの違いは?ビジネス用途にはどちらを選ぶべき?
Windows 7のサポート期限が切れ、Windows 10への移行を検討している方も多いことでしょう。一般向けのWindows 10には「Home」と「Pro」の2種類(エディション)があります。HomeとProの違いと、ビジネス用途ではどちらを選んだらいいのかを解説します。
Windows 7からWindows 10への
移行が必要な理由
Windows 7のサポート終了とは?
Windows 7は、2020年1月14日にサポートが終了しました。「サポート終了」とは、Windows 7のメーカーであるMicrosoftが、今後はWindows 7のアップデートを行わないことを意味します。すぐにWindows 7が使えなくなるというわけではありませんが、今後はセキュリティ上の弱点が発見されても修正アップデートが配布されず、セキュリティ上の弱点を抱えたまま使うことになる可能性があります。そのため、現在Windows 7を使用している場合には、できるだけ早くWindows 10へ移行しましょう。
Windows 10への移行でなにが変わる?
Windowsの現行バージョンであるWindows 10は、2015年7月29日に発売されました。これまでのWindowsとの大きな違いは、「Windows 10の次バージョン」が発売される予定がなく、Windowsの最終バージョンとされている点。今後は、機能の追加や修正はWindows 10の無償アップデートによって行われることになります。その意味でも、新バージョンの発売を気にしてWindows 10を買い控える意味はなく、すぐにでもWindows 10に移行すべきなのです。
Windows 7からWindows 10への移行で追加される主な機能には、次のようなものがあります。
Webブラウザー
「Microsoft Edge」
Windows 7までのデフォルトブラウザー「Internet Explorer」に代わり、「Microsoft Edge」が搭載されました。なお、従来の「Internet Explorer 11」も内蔵されており、使用可能です。
パーソナルアシスタント
「Cortana」
ユーザーの質問に音声で答えてくれるAIアシスタントです。音声でもキー入力でも操作でき、スケジュールや天気、ニュースなどの問い合わせのほか、Web検索なども可能です。
UWP
(Universal Windows Platform)
従来のデスクトップ上で動作する環境とは別の、Windows 8/8.1/10やゲーム機のXbox Oneなどで共通して動作するアプリ環境です。「ストア」で専用アプリを入手できます。タッチ操作やペン操作に対応しているのが特徴です。
Windows PowerShell
コマンドラインで動作するシェルです。従来の「コマンドプロンプト」より、さらに高度な利用が可能です。
Microsoftアカウント
Microsoft製品に共通して利用できるアカウントです。Windowsへのサインインにも利用でき、Microsoft OfficeやOneDriveなどを、個別にサインインせず利用できるようになります。
Windows 7 | Windows 10 | |
---|---|---|
CPU | 1GHz以上 | |
メモリ | 32bit:1GB / 64bit:2GB | |
ディスク容量 | 32bit:16GB / 64bit:20GB | |
グラフィックス カード |
DirectX 9 以上 (WDDM 1.0 ドライバー) | |
ディスプレイ | 800×600以上 |
Windows 7とWindows 10のシステム要件(動作条件)。大きな進化を遂げたにも関わらず、要求される条件はWindows 7と同等。つまり、現在使用中のハードウェアでも問題なく使用できる可能性が高いといえます。
Windowsの「エディション」とは
用途や予算に応じてエディションを選択できる
Windowsは、同じバージョンでも複数のエディションが存在します。エディションの違いは、搭載されている機能の違い。価格も異なります。たとえばビジネス用の高度な機能は、家庭内のみで使う場合には不要ということもあるでしょう。そこで、ビジネスで使う人はビジネス向けエディションを、家庭で使う人は家庭向けエディションを選ぶなど、購入するWindowsを用途と予算によって選べるようになっているのです。
Windows 7の主なエディションは、「Home Premium」「Professional」「Enterprise」「Ultimate」の4種類。基本的な機能のみが搭載された「Home Premium」、より高度な使い方をするユーザー向けの「Professional」、企業ユーザー向けの「Enterprise」、すべての機能を搭載した「Ultimate」という位置づけになっています。
そしてWindows 10は、個人用・家庭用の「Home」、企業用・ビジネス用の「Pro」という2種類が、一般に購入できるエディションとなっています。そのほか、大規模企業向けの「Enterprise」や、教育施設で使用する「Education」などもありますが、入手方法が特殊なのでここでは扱いません。
windws 7 | windows 10 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
エディション | Home Premium | Professional | Ultimate | Home | Pro | |
最大CPUソケット数 | 1 | 2 | 2 | 1 | 2 | |
最大倫理プロセッサ数 | 32bit | 32 | 32 | 32 | 32 | 32 |
64bit | 256 | 256 | 256 | 256 | 256 | |
最大物理メモリ容量 | 32bit | 4GB | 4GB | 4GB | 4GB | 4GB |
64bit | 16GB | 192GB | 192GB | 128GB | 2TB |
最大CPU ソケット数 |
最大倫理 プロセッサ数 |
最大物理 メモリ容量 |
|||
---|---|---|---|---|---|
32bit | 64bit | 32bit | 64bit | ||
Windows 7 | |||||
Home Premium |
1 | 32 | 256 | 4GB | 16GB |
Professional | 2 | 32 | 256 | 4GB | 192GB |
Ultimate | 2 | 32 | 256 | 4GB | 192GB |
Windows 10 | |||||
Home | 1 | 32 | 256 | 4GB | 128GB |
Pro | 2 | 32 | 256 | 4GB | 2TB |
Windows 10では、認識できる物理メモリの容量が飛躍的に増えています。なお「ソケット数」とは、CPUを装着する物理的なソケットの数。「論理プロセッサ数」とは、同時に複数の命令を実行できる個数のこと。Hyper-Thread機能を持つCPUでは、コア数の2倍になります。「エディション」については、次章を参照してください。
Windows 10のエディションの違い
Windows 10には、個人用・家庭用の「Home」、企業用・ビジネス用の「Pro」という2種類が、一般に購入できるエディションとなっています。そのほか、大規模企業向けの「Enterprise」や、教育施設で使用する「Education」などもありますが、入手方法が特殊なのでここでは扱いません。それでは、「Home」と「Pro」の違いを解説していきましょう。
機能 | 概要 | Home | Pro |
---|---|---|---|
Windows Hello | 顔認証・指紋・PINを利用してロックを解除 | ○ | ○ |
デバイスの暗号化 | 特定のユーザーだけがサインインやファイル利用ができるように暗号化 | ○ | ○ |
ファイアウォールとネットワークの保護 | ネットワーク外からの攻撃からシステムを保護する | ○ | ○ |
インターネットの保護 | Windows Defender SmartScreenで、危険なアプリ・ファイル・ホームページなどからシステムを守る | ○ | ○ |
保護者による制限/保護 | 成人向けコンテンツなどから青少年を守る | ○ | ○ |
セキュアブート | システムの起動中に悪意のあるアプリなどが組み込まれるのを防ぐ | ○ | ○ |
Bitlockerドライブの暗号化 | ストレージ単体が紛失・盗難にあっても、内部のデータを読み取れないようにする | × | ○ |
Windows情報保護(WIP) | 偶発的なデータ漏洩から企業のアプリやデータを守る | × | ○ |
Windows Defenderウイルス対策 | ウイルスからシステムを守る | ○ | ○ |
ISO/VHDのマウント | 仮想ディスクイメージファイルを、ドライブとして読み込む | ○ | ○ |
VHDブート | 仮想ディスク・ドライブからシステムを起動する | × | ○ |
リモートデスクトップ(クライアント) | ネットワーク経由でパソコンを操作する(クライアント側) | ○ | ○ |
リモートデスクトップ(ホスト) | ネットワーク経由でパソコンを操作する(ホスト側) | × | ○ |
Hyper-V | 仮想マシンを利用して独立したシステムを構築する | × | ○ |
Windowsドメイン参加 | Windowsでネットワークを管理する「ドメイン」に参加し、アカウントや設定を共通利用できる | × | ○ |
グループポリシー管理 | システムやユーザーの設定を一元管理できる | × | ○ |
Windows Update自動更新の変更・無効化 | Windows Updateの自動更新を停止し、適用タイミングを手動設定する | × | ○ |
ビジネス向けMicrosoft Store | アプリの取得を企業が集中管理できるストア | × | ○ |
Azure Active Directory | 企業ネットワーク上のアプリやクラウドアプリへのサインインとアクセスを支援する | × | ○ |
割り当てられたアクセス | アプリへのアクセス権をユーザーごとに設定する(キオスクモード) | × | ○ |
動的プロビジョニング | システムのセットアップ時に、ユーザーに応じたシステム設定を適用できる | × | ○ |
Windows 10 Home の
メリット・デメリット
Windows 10 Homeのメリットは、価格の安さです。そして機能が制限されていることにより、思わぬ設定ミスの可能性も減らすことができます。一方で、高度な設定やセキュリティ機能が搭載されていないため、意図した使いかたができなかったり面倒な作業が必要になったりすることもあります。
重要なデータを扱う場合や、複数のパソコンを一括管理するような用途では、Windows 10 Proを選んだほうがいいといえるでしょう。なお、Homeを使っている場合でも、あとからProへのアップグレード(有償)を行うことが可能です。
Windows 10 Pro の
メリット・デメリット
上記の表でもわかるように、ProはHomeの機能をすべて持っており、さらにビジネス・セキュリティ関連の機能を追加したエディションになっています。機密性の高い情報を高いセキュリティで守ることができるのが、Proの最大のメリットといえるでしょう。また、システムの設定をより柔軟にできる、複数のシステムやアカウントに対して一括して行えるといった機能も特長です。
一方、ProはHomeよりも5000円程度高くなります。導入する台数が多い場合には、この差額が気になるかもしれません。また、高度な設定ができるだけに、よくわからないまま設定を行うと、意図した動作をしなくなってしまうなど、かえってセキュリティ上のリスクが高い状態になってしまう可能性もあります。
ProとHomeどちらを選ぶべき?
Homeが適しているのは、主に家庭で、Webページ閲覧・メール・ゲーム・文書作成といった一般的な用途にパソコンを利用する場合です。Proが適しているのは、パソコンを仕事で利用している、企業で複数台導入するような場合です。パソコン内の重要な情報を守ったり、複数のパソコンをまとめて管理したりファイルを共有したりするような用途には、Proだけに搭載されている機能が必要になります。ProはHomeの機能をすべて持っており、価格差もそれほど大きくはないため、「迷ったらPro」と考えてもいいかもしれません。
Windows 10の「パッケージ版」「ダウンロード版」「DSP版」とは?
Windows 10を購入しようとすると、販売形態が「パッケージ版」「ダウンロード版」「DSP版」の3種類存在することがわかります。これらは何が違うのでしょうか。
パッケージ版は、その名の通り箱に入って販売されている製品。中にはインストール用USBメモリが収められており、そのUSBメモリをパソコンに装着してインストールすることになります。
ダウンロード版は、インストールに必要なファイルをMicrosoftの公式サイトからダウンロードする製品。パッケージ版はお店に行くか、通販でも届くまでに時間がかかります。ダウンロード版なら入手にかかる手間と時間を節約でき、しかも「品切れで入手できない」ということがありません。
DSP版は、パソコンとのセット販売が前提になっている製品です。実際には、パソコン本体とのセットだけでなく、パーツとの組み合わせでも購入できることがあります。その場合には、そのパーツを組み込んだパソコンにのみインストールすることができます。パッケージ版やダウンロード版に対して、安く入手できるのが特徴です。
Windows 10に移行する際の注意点
ソフトや周辺機器の対応を確認する
Windows 7の内蔵ソフトや機能の中には、Windows 10で削除されているものがあります。Windows XP互換機能の「XPモード」や、「Windows Media Center」「デスクトップガジェット」「ホームグループ」などです。そのほか、「ネットワークアクセス保護」や「ワークプレース参加」なども利用できなくなっています。その多くは代替機能が用意されていますが、使い勝手や設定方法が変わっていることもあるため、現在使っている内蔵ソフトや機能がWindows 10でも使えるか確認しておきましょう。また、サードパーティー製のソフトや周辺機器も、Windows 10に対応しているかどうか確認しておきましょう。
パソコン本体の対応を確認する
メーカー製パソコンの場合は、公式サイトでWindows 10への対応を確認しておきましょう。本体内にWindows 10用のドライバが用意されていないパーツが存在すると、アップデート後にうまく動作しなくなることがあります。また、公式にWindows 10へのアップグレードをサポートしてない機種では、アップデートするとユーザーサポートを受けられなくなることもあります。
リカバリディスクとバックアップを作成する
OSのアップデートでは、仕様上消去されてしまうデータがあったり、思わぬトラブルでデータが消失してしまったりすることがあります。そのため、アップデート前には必ずリカバリディスクを作成し、アップデート前の状態に戻れるようにしておきましょう。またデータのバックアップをとっておくことも重要です。