【新旧対決】NEW虎徹の何が変わった?!
【新旧対決】NEW虎徹の何が変わった?!
2013年の発売時からローエンドCPUクーラーの定番モデルとして、サイズの“虎徹”は多くのユーザーに支持されて来た。下手なミドル帯のクーラーよりも高い冷却性能に衝撃を受けた人も少なくないだろう。
そんなローエンド帯の王者“虎徹”が2017年6月に新モデルへと生まれ変わった。その名も“虎徹 MarkII”!
検証環境
Intel CPU 測定用パソコン | |||
CPU | Intel Core i7-6700K (VID=1.300、殻割済み) | マザーボード | ASrock Z170M OC Formula |
---|---|---|---|
メモリ | DDR4-2133 (バルク) | グラフィックス | NVIDIA GeForce GT 730 (ファンレス) |
電源 | CORSAIR AX1200i (セミファンレス) | ストレージ | SAMSUNG 840EVO 120GB |
ケース | バラック | OS | Microsoft Windows 10 64bit版 |
グリス | Thermal Grizzly Kryonaut | 内部グリス | Thermal Grizzly Conductonaut |
AMD CPU 測定用パソコン | |||
CPU | AMD RYZEN 7 1800X | マザーボード | MSI B350 TOMAHAWK ARCTIC |
計測環境 | |||
室温 | 25度前後 | ||
計測条件 | |||
温度 | HWMonitor 1.31のPackageの値 HWMonitor 1.31のFans CPUの値 |
アイドル時 | OS起動5分後の値 |
高負荷時 | OCCT実行中の値 | OC | 4.5GHzでOCCT実行中の値 |
OCファン全開 | OC状態でファンを全開にしOCCT実行中の値 | OC設定 | CPU倍率45倍、Vcore 1.3V、LLC Level1、省電力機能無効 |
OCCT設定 | CPU LINPACK AVX有効で5分間 |
スペック比較
まずはスペック表をチェックしてみよう。
サイズ (W × H × D) |
130mm × 160mm × 83mm (ファン含む) | 130mm × 154mm × 83mm (ファン含む) | 全高6mmダウン |
ファンの回転数 | 400 (±200rpm) ~ 1400rpm (±10%) | 300 (±200) rpm ~ 1200 rpm (±10%) | 回転数が低くなった |
ファンの動作音 | 5.3 ~ 28.0 dBA | 4.0 ~ 24.9 dBA | 動作音が低く |
ファンの風量 | 20.7 ~ 79.0 CFM | 16.6 ~ 51.17 CFM | 風量も低く… |
ヒートパイプ | 6mm径 × 4本 | 6mm径 × 4本 (ニッケルメッキ処理) | 高級感が出た |
フィンの枚数 | 56枚 | 56枚 | 据え置き! |
対応ソケット | Intelソケット: AMDソケット: |
Intelソケット: AMDソケット: |
AM4に対応 |
最大の変更点は前モデルからヒートシンクが低くなった事だろう。そしてファンの回転数が下がっている点にも注目したい。ヒートシンクのサイズやファンの回転数は冷却性能に直結する部分だけに、冷却性能が下がっていないか心配だ。
リテンションキットが新型になり取り付けやすくなっているのだが、それだけでなくAM4にも標準対応している。別売りのAM4向けのマウントキットを買う必要がないのは嬉しい変更点だ。
変更点
次に変更点を細かくチェックしていこう。
その1 ヒートシンクが低く干渉しにくくなった!
まず注目したいのがヒートシンクの全高が低くなった事。虎徹の全高が160mmあったのに対し、虎徹 MarkIIは154mmと6mm低くなった。これにより搭載ケースの選択肢が広がったのは嬉しい。フィンの枚数は56枚と、全行が低くなっても同じ枚数になっているので性能への影響も抑えられている。
次に注目したいのがヒートシンクが片側にオフセットされた事だ。これにより、メモリスロットとの干渉が抑えられるので、最近流行のRGB LEDを搭載したメモリや、オーバークロックメモリなどの大型ヒートシンクを搭載しているメモリを使用しても安心だ。
性能面での影響はないかもしれないが、ヒートパイプがメッキ処理されているのも変更点の一つだ。
その2 ファンが静音志向に!
12cmサイズのPWMファン“KAZE FLEX”が付属。最大回転数が1,200rpmと、旧モデルに付属するファンよりも200rpm低くなり、風量も最大で51.17 CFMと旧モデルの79.0CFMよりも27.83 CFM低くなっている。それに伴い動作音は28.0dBAから24.9dBAまで低下している。最低回転数も100prm低下しているので、低負荷時の静音性も優れていそうだ。
ファンのベアリングには長寿命かつ静粛性に優れた高密度密閉型FDB (Sealed Precision FDB)が採用されているらしく、高回転時も動作音は静かに感じた。これはファンのフレームに防振ラバーが装着されているのも影響していそうだ。
その3 リテンションキットが進化!
Intel向けのリテンションキットはツールフリーで組み立てが可能となった。バックプレートに予めボルトが装着されているので、旧製品のように位置を合わせながらネジ止めする必要がなくなった。また、バックプレートを固定する金属製のナットが樹脂製となったので、樹脂ワッシャーの装着し忘れでマザーボードを痛める通称“虎徹病”とは無縁になった。
冷却性能はほぼ同等!
検証結果 CPU温度
アイドル時 | 高負荷時 | OC時 | OCファン全開 | OC高電圧 | 高電圧 ファン全開 |
||
虎徹 | 24 | 54 | 71 | 70 | 77 | 76 | |
虎徹 MarkII | 24 | 54 | 71 | 71 | 77 | 76 |
検証結果 ファン回転数
アイドル時 | 高負荷時 | OC時 | OCファン全開 | OC高電圧 | 高電圧 ファン全開 |
||
虎徹 | 1132 | 1176 | 1304 | 1446 | 1363 | 1475 | |
虎徹 MarkII | 970 | 1035 | 1146 | 1189 | 1185 | 1186 |
いきなり答えが出てしまったが、今回の検証結果を言うと“ほぼ同等の冷却性能を有している”と言える。
OCファン全開時に虎徹が1度低い温度を示しているが、それ以外は全て同じ温度を示した。複数回計測し直しても同じ結果だったので、1.3Vに設定したレベルの発熱だと、200rpm高く回る虎徹のファンの風量が活きているのかもしれない。
ヒートシンクが6mm低くなっているのに加えて、ファンの回転数も200rpm低くなっているが、それにも関わらず同等の性能を発揮出来ているのにはかなり驚いた。フィンの枚数が同じ56枚である点や、ベース部分の作り込みが良い点が影響していると思われる。
ファンの回転数は全体的に虎徹 MarkIIが低く、動作音も体感上で低く感じる。バラック状態であってもファンを全開で回しても苦にならないレベルなので、ケースに組み込んでしまえばファンを回す設定で運用するのもアリだ。動作音の低さは、ファンの回転数が下がった事だけでなく、ファンに搭載されている防振ラバーと高性能なベアリングが効いていると思われる。
番外編 AMD純正クーラーとの対決!
検証結果 CPU温度
アイドル時 | 高負荷時 | OC時 | ||
虎徹 MarkII | 47 | 75 | 92 | |
AMD純正クーラー | 53 | 81 | - |
検証結果 ファン回転数
アイドル時 | 高負荷時 | OC時 | ||
虎徹 MarkII | 431 | 1035 | 1162 | |
AMD純正クーラー | 744 | 2436 | 2732 |
AMDのRyzen向けの純正クーラー“Wraith Max”との比較も行った。こちらは組み込み向けとなっており、中々のレアアイテムらしい(クーラー担当スタッフ談)
虎徹 MarkIIに換装するとCPU温度はアイドル時に6度、高負荷時にも6度低下。純正クーラーではCPU温度が100度に達してしまい3.8GHz(1.35V)というOC設定で負荷テストをパス出来なかったが、虎徹 MarkIIは92度でクリア。
ファンの回転数は純正クーラーが高負荷時に2,426prm、OC時に2,732rpmに達しているが、虎徹 MarkIIはそれぞれ1,035rpmと1,162rpmと低い回転数で高い冷却力を発揮している。
純正クーラーの動作音は2,000rpmを超えるとかなり大きくなるので、OCしない場合でも高性能な社外クーラーに分があると言える。
リテールパッケージに付属しないレアなクーラーなだけに参考程度に読んで頂ければ幸いだ。
- コンパクト化でケースの選択肢が増えた!
- ファンが静かになった!
- それでいて性能はほぼ同等!
- リテンションキットが組み立てやすい!
実売価格のアップに見合うだけ質感や扱やすさがUP!ローエンド帯の新定番になる事必至!