SSD (Solid State Drive)って何?
SSD (Solid State Drive/ソリッドステートドライブ) は、簡単に言うと、ハードディスク (HDD) の代わりになる記憶装置です。
HDDの中身は、データを記録する部分であるプラッタと読み書きを行なうヘッドの組合せで構成されていますが、SSDではフラッシュメモリが使用されていて物理的な動作をする部分がありません。
PCと接続するインターフェイス部分は通常のHDDと同じくシリアルATAが採用されています。最近ではインテルの提唱する小型PCフォームファクター「NUC」(Next Unit of Computing)などの小型パソコンやノートパソコンに使用される mSATA製品や、サーバー向け用途の高性能 PCI Express接続の製品も普及してきています。
フラッシュメモリ自体の読み書きにおけるデータ転送速度は一部を除きHDDよりも遅いのですが、SSDでは多並列動作を行なうことによってHDDと同等以上の速度性能を確保することが可能になっています。
また、フラッシュメモリは書き込みの耐久性能がHDDより低く弱点の一つとも言えますが、SSDではウェアレベリング(書き込みをする個所を分散し特定個所の劣化を防ぐ技術)
やキャッシュメモリを搭載して書込み回数自体を減らすことによって耐久性能を向上させています。
SSD のココがスゴイ!
■ランダムアクセスでのデータの読み込み性能が高い!
HDDではランダムアクセス時に物理的なヘッドの移動 (seek/シーク) を伴ないますが、SSDでは物理的な移動がない分高速です!
こんな用途に...OSをSSDにインストールして高速起動、辞書データをSSDに置いて変換のレスポンス向上
■耐衝撃性が高い!
SSDは物理稼動部分がないため、読み書き中の振動に強いという特長があります。
HDDでは読み書き中の振動が原因でプラッタとヘッドが接触しプラッタに傷が付いたり、また、落下などの衝撃によりモーター内のベアリングが変形したりしてデータの読み書きが不能となる場合があります。
こんな用途に...ノートパソコンの記録装置として、携帯時のトラブル防止に
■消費電力が低い!
HDDではデーターにアクセスする際、ディスクを回転させヘッドを動かす必要があります。ディスクの回転にはモーターを動作させる電力が必要ですし、ディスク停止時から回転を開始する時はさらに電力を必要とします。
SSDではディスクもヘッドも必要ありませんので、消費電力が低くなります!
こんな用途に...バッテリで動作するノートパソコンに搭載して動作時間アップ!
■なんといっても軽量!
SSDにはモーターもヘッドも必要ありません。また、HDDは埃の侵入を防ぐため基本的に金属製の筐体で密封されており重量の増加にも繋がっています。
こんな用途に...ノートパソコンの記録装置にすれば、持ち運びも楽々
■動作音が静か!
SSDはモーターを始めとした物理稼動部分がないためHDDに比べて動作音が静かです。
こんな用途に...デスクトップPCに組み込んで静音パソコンの作成に
SSD のココが弱い
■容量がHDDに比べて少ない
容量1TB以上の製品が存在するHDDと比較するとSSDの容量の主流は256GBとあまり大きくありません。
これについてはMLCを搭載し400GB以上の容量を実現した製品が登場するなど、技術的な改善が進んでいます。
■容量あたりの単価がHDDに比べて高い
MLCを搭載した製品の登場、量産効果などで改善が進んでいます。
■書き込み速度が遅い
搭載されるコントローラやフラッシュメモリの進歩により、上位のモデルではHDD以上の速度を実現しているモデルもあります。
■書き込み耐久性能の問題
ウェアレベリングやキャッシュメモリの搭載により耐久性能を向上させています。
用語解説
■ウェアレベリング (wear levelling)
ウェアレベリングは書き換え回数が限られているメディアにおいて、使用寿命を延ばすための方法です。
一般的にフラッシュメモリメディアの書き換え限度回数は、メディア全体に対しての回数ではなくメモリセル(※1)に対しての回数となっています。
このため特定のブロック(※2)に書き換えが集中すると、そのブロックは早く使用寿命を迎えることとなります。
書き換えが特定のブロックに集中せず、メディア中の各メモリセルになるべく均等に分散されるように制御ができれば、メディアとしての書き換え限度回数は向上します。
この、データの書き換えをメディアのメモリセルにできるだけ均等に分散させる技術の事を、ウェアレベリングと呼びます。
ウェアレベリング技術を用いる事により、メディアとしての書き換え限度回数はメモリセルの書き換え限度回数の数百から数千倍になると言われています。
NAND型フラッシュメモリメディアでは、CPUなどメモリチップ外部からのアドレス信号を内部的に異なるアドレスに変換して、各ブロックの書き込み/消去回数を平均化する方法が多く使用されています。
このため読み書きはページと呼ばれる複数のメモリセルを纏めた単位で、消去はブロックとよばれる複数のページを纏めた単位で行なわれます。
※1...1ビットの情報を蓄積するのに必要な回路構成。
※2...NAND型フラッシュメモリではメモリセルを駆動するのに必要な導線を複数で共有しています。
■SLC、MLC、TLC
1セルあたりの記録bit数が1bitのものをSLC(シングルレベルセル)といいます。
それに対し1セルあたりのbit数を増やした物をMLC(マルチレベルセル)といいます。
TLC(トリプルレベルセル)は1セルに3bitのデータを格納する方式です。
本来TLCもMLCの一種ですが、従来より1セルに2bitのデータを格納する方式がMLCと呼称されていたため、慣用的に2bit記録をMLC、3bit記録をTLCとして表記/呼称されています。(※3)
速度や書き換え回数といった点ではSLCのが優れていますが、MLC/TLCは大容量化する際のコストパフォーマンスに優れています。
※3...2bit記録をMLC-2、3bit記録をTLC/MLC-3として表記/呼称する場合もあります。
■IOPS(Input/Output Per Second)
IOPS(Input Output Per Second)とは、ある条件下で1秒間に読み書き(Input/Output)できる回数で、数値が高いほど処理能力が高くなります。
条件によって数値が変わりますので、4KB ランダム書き込み 75,000 IOPS のように記載されます。
■SATA/mSATA/M.2
SATA(Serial ATA/シリアルATA)は、コンピュータと記憶装置を接続する規格の一つです。データ転送速度が1.5Gbps、3Gbps、6Gbpsの3つの規格があり、互換性があります。ただし、接続した規格が異なる場合は低い性能に合わせて動作します。(※4)
※4...一例としてコンピュータ側がSATA 1.5Gbps、SSD側がSATA 6Gbpsであった場合、データ転送速度は1.5Gbpsでの動作となります。
mSATA(Mini SATA/ミニSATA)は、SATA規格の一部で、インテルの提唱する小型PCフォームファクター「NUC」(Next Unit of Computing)などの小型パソコンやノートパソコンでカード形状のSSDなどを使用するためのコネクタ仕様です。
M.2は小型カード状の機器をコンピュータと接続するための規格の一つです。インテルのチップセットでは 9シリーズで新たにサポートされました。
M.2では様々な用途に対応できるようサイズやインターフェイスが異なるいくつかの仕様がありますが、SSD向けとしてはフォームファクターが横幅:22mm、奥行きは80mm / 60mm / 42mmなどがあります。また、インターフェイスはSerial ATAとPCI Expressがあります。